有名店が並ぶエリアに登場した「肉ラー」注目の焼肉店
四谷消防署と旧フジテレビの間は、かつてよく芸能人が目撃された「羅生門」など焼肉店が多いことで知られるエリアです。「羅生門」は消防署近くの本店からさらに歩いた「一心らーめん」の向かいに曙橋店があります。その隣にあるのが「もつ焼のんき」。首都圏のほかの店もだいたい「もつ焼のんき」なので有名ですね。
でも今回はここではなく、さらにその先にある、居酒屋というよりは隠れ家レストランのような外観の新業態「赤身とホルモン焼のんき」です。

実はグループのオーナーが四谷ご出身、ということもあって、荒木町車力門通りには、やはり新業態の「酒場のんき」というお店もあり、この界隈だけで3つの異なった「のんき」があるわけです。
「赤身とホルモン焼のんき」は2016年の開業。荒木町界隈を、明るく、元気のある場所にしたい、というオーナーの強い想いもあっての、まさかの隣同士「のんき」です。「赤身~」の店長、忍足さんも生粋の荒木町育ち。
さて、今回の相棒、デヴィッドが来る前に、もう少しこの店について説明が必要です。
実はここ、吉祥寺で有名なホルモン焼の「わ」と、赤身焼肉の「肉山」とコラボした新業態。といっても肉好き以外の人にはピンとこないかもしれませんが、この両店は同じオーナーさんで、2002年に「わ」を、2012年に「肉山」を開業。ともに予約なしでは入れない人気店ですが、「肉山」は数ヶ月も予約が取れないこともあり、「肉ラー」の間ではやっとの思いでこの店に入ることを店名をしゃれて「登山」と呼ぶんだそうです。
「わ」プロデュースのホルモンと、「肉山」プロデュースの赤身を両方楽しめるこのお店で、焼肉の真髄を味わってもらおうというのが今回の主旨なのです。
外国人にとって「寿司」と「焼肉」の共通点とは?
さて、やってきましたデヴィッド。本職は英語教師の40歳。ベルギー人ですが、お父さんの仕事の関係で、オーストラリアに生まれ、フィリピン、スイス、ベルギー、エクアドルといろんな国で生活。日本は12年目。いちばん長く住んだベルギーの13年をもうすぐ抜くことになります。

当然、焼肉が初めてなわけはありませんが、ホルモンはやはり苦手だそう。
「食べられる、られないということではなく、コンセプトの問題ですね」
コンセプト?
「そう。どこの場所、とか説明されるから(笑)」
なるほど。そうは言ってもここは「わ」お墨付きのお店ですから、容赦なく最初はホルモンです。今回は「うちの美味しいものを全部食べていただく」という店長の想いの入った「お任せコース」。¥5,000ですが、これが安い、と断言できるほど、上質なお肉が山ほど出てきます。

まずはホルモン9種盛り。恐る恐るのデヴィッドも、
「あ、でも柔らかいですね」と、意外な様子。中でも豚のおっぱいがお気に入りでした。

「タンはベルギーでも食べます。でもグルメね」
この場合の「グルメ」はどうやら「食通」という意味らしい。日本じゃタン食べる程度じゃ食通ではないですよね。しかし、肉食の歴史が浅い日本のほうが、いろんな部位を食べちゃう文化が育ったのは興味深いです。

「お寿司は自分でソイソース付けて食べますし、焼肉も自分で焼いてタレ付けますね。こういうのは、外国人にとって珍しいと感じると思います」
確かに、調理することが料理の基本、という考えが西洋にはあって、日本料理には食材そのものの良さを味わってもらおう、という考えが根底にあるかもしれませんね。そう考えると、いろんな部位を食材としてトライしてみよう、という焼肉文化は、日本ならではのものとも思えます。自分たちではなかなか気づかないな、そういうこと。外国の人と食事するって、発見があって楽しいですね。
いつも新鮮な気持ちで食事に向き合う楽しさを教えてもらう
と話に花が咲きつつ、実はまだ前半のホルモンしか終わっていないことに気づきましたが、ここまででもうすごい量。体格のいいデヴィッドもお腹いっぱいの様子。しかし後半にはヒレ肉、千葉産銘柄豚のソーセージ、黒毛和牛のイチボとお肉が続き、ジャンボエリンギのステーキ、口直しのキュウリに最後は玉子かけご飯またはビーフカレー、と、とんでもない量のコースです。


「お腹いっぱいだけど、お肉ばかりなのでそんなに大変じゃないですね」
そう。最後のご飯まで炭水化物はほとんど食べていないので、がんばれば女性でもたいたげられる量です。なにしろ美味しいので、ぜひみなさんも予約してみてください。

デヴィッドによると、「寿司や天ぷらは知っていても、日本に来る前に焼肉を知っている人は少ないと思いますね。僕も12年日本にいますけど、毎年新しいもの食べてます」
それはチャレンジして、ということ?
「いや、たまたまですね。旅行に行ったりした時とかに」
なるほどなあ。外国にいるからこそ、初めて食べるものに新鮮に向き合える、ということですね。美味しいものを楽しむには、外国人でなくてもこういう気持ちは忘れずにいたいですね。



