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画一化した時代と流行の背を向け続ける街~荒木町

懐古趣味、というのはいつの時代にもあるものですが、今の日本はさしづめ空前の「昭和ブーム」といえる時代でしょう。

現在の日本の年号が「平成」。その前の、第二次大戦を挟む63年間が「昭和」です。

IT時代の幕開けとともに昭和は終わりましたが(年号はその時代に即位している天皇の崩御=死去によって変わります)、情報が画一化し、ショッピングモールの増加など消費スタイルも世界共通になりつつある現在、その地域独特の人間臭さを残した昭和文化が懐かしまれて、あるいはその時代を知らない若い世代から憧れられています。

結果、「昭和」らしさを残した街や店が、日本人のみならず、飲食でも製品でも有名な日本ブランドしか知らない外国人にも人気となっているのです。

少し前まではこうした雰囲気は戦後の開発が遅れていた下町地域に多く残っていましたが、2011年の東京スカイツリー開業とともに、この地域は今、東京で一番「平成化」が進んでいる場所です。

逆に新宿という大繁華街の近くでありながら、開発から取り残されたまま「昭和」で時代が止まってしまっているような街が丸ノ内線四谷三丁目駅近くの荒木町です。

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大名屋敷から花街、そしてマスコミ人の溜まり場へ

近世の江戸時代、ここには松平摂津守義行の広大な屋敷がありました。近代に入った明治以降は花街(芸者衆がいる繁華街)となり、屋敷の庭園や池が一般に開放され東京でも有名な景勝地として栄えます。

昭和の時代になると花街時代からの料理屋が軒を連ねる飲食店街となり、大手テレビ局、ラジオ局、出版社のスタッフといった比較的裕福な文化人が常連となって料理や酒などにこだわりのある名店揃いの街として一部で知られるようになります。時代が平成になっても、地形的要因からか大きな開発がないまま、当時の雰囲気を残した街並みが続いています。

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地形のおかげ?大きな開発を免れて、時間を忘れて佇める空間が生きている

大きな開発がなかったのは、街全体が大きなすり鉢のような地形をしており、一部を除いて大通りへは階段を使わないとつながらないような場所だからです。

ここではただ目的のお店に行くだけでなく、昭和の雰囲気を残した街並みを散策する楽しみもあります。街全体が迷路のようになっていて、階段が多いことから、自動車もあまり入ってこない道が多く、すぐそばが新宿通りとは思えない落ち着いた風情です。

すり鉢のもっとも底にあたる場所には、津の守弁財天という神社があり、ここの池は松平摂津守の屋敷時代からあるものです。またこの周辺の柳の木や、この池から登る坂がみな石畳になっているところなどは、花街時代のものです。

石畳を登ったところにも神社と小さな公園があり、カフェなども周辺には数多くあり、ゆっくり流れる時間を楽しむことができる街です。

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Tadaima Japan Editorial Team