- 昭和の風情と石畳の路地。古い歴史が残る迷路のような町を散策
- 食通の大人たちを惹き付ける有名なグルメスポット
- 昼と夜の2つの顔を持つ荒木町
- とにかく坂と寺社の町!四谷寺町エリア
- ぜひ訪れたい!映画「君の名は」の舞台になった神社や服部半蔵の墓があるお寺
昭和の風情と石畳の路地。古い歴史が残る迷路のような町を散策

まずは荒木町からスタート!
この辺りはもともと、江戸時代の美濃国高須藩藩主・松平摂津守家(まつだいらせっつのかみけ)の大きな屋敷があった場所です。一般に公開されるようになった明治時代には、その敷地内にあった美しい滝や池などの景観で、東京近郊でも人気の景勝地だったそう。
また、まるで巨大なすり鉢のような地形をした都内でも珍しいエリアで、その高低差が激しい複雑な地形を歩きながら感じる事ができます。そのため、荒木町を歩いていると階段や石段によく遭遇します。

そのすり鉢状地形の底の部分にあたるのが、住宅街の奥にひっそり佇む津の守弁財天(つのかみべんざいてん)の「策(むち)の池」。

江戸時代の古書によると、徳川家康がここへ鷹狩りにやって来た際、乗馬用のムチをこの池に注ぎ込まれる湧水で洗ったことから「策の池」と呼ばれるようになったそう。
現在では池もほとんど埋め立てられて、当時とは比べ物にならないほど小さくなってしまったとは言え、300年以上も前の池が目の前に残っているなんて、何となく感動してしまいますよね。
そして、池の横にこぢんまりと建っているのが津の守弁財天(つのかみべんざいてん)。

屋敷があった当時、敷地内の池のほとりに建っていた祠(ほこら)をこの場所に再建したもので、今では地元住民の守り神として愛されています。
それでは、津の守弁財天のすぐ脇の石段を登ってみましょう。

石段を道なりに上がりきり、そのまま「荒木町奥の細道」をまっすぐ進むと、小さな公園にくっついた金丸稲荷神社(かねまるいなりじんじゃ)に到着します。

荒木町のちょうど中心にあたる場所に建っているこの神社は、松平摂津守家の守護神として屋敷のあった当時から存在していたもの。屋敷がなくなった今は、荒木町の人々を静かに見守っています。
- 1.津の守弁財天:東京都新宿区荒木町10-9
- 2.金丸稲荷神社:東京都新宿区荒木町
食通の大人たちを惹き付ける有名なグルメスポット
こんな歴史の古い荒木町は、今ではおよそ250軒近くもの飲食店が建ち並ぶグルメスポット!それほど目立つ場所にあるわけじゃないし、素通りしてしまいそうな地味な外観なんだけど、実はミシュランの星付き、なんてお店もこの狭い区画の中にいくつかあるほどです。
歩いて回ると分かるように、迷路のように石畳の細い路地が多く、そこにも小さなお店が連なっているので、ちょっとした探検気分にも浸れます。まさに「路地裏の名店」という言葉がしっくり来る町で、都内でも食通の大人たちが集まる場所として知られています。

昼と夜の2つの顔を持つ荒木町
この町は夜になるとがらりと雰囲気が変わります。
新宿にも近い、大都会のど真ん中にある飲み屋街にも関わらず、どこか「隠れ家」的雰囲気が伴うのは、この大通りから少し奥に引っ込んだ感じ、そして石畳の路地が多く、小さな区画の中に飲食店がぎゅっと詰まっているひっそり感、というか、控えめ感のような空気があるためでしょう。
路地のあちこちに暖かい色の灯りが灯り始め、石畳を照らし出す夜になると、昭和50年代まで花街だったこのエリアは、ますます粋で艶っぽい風情にあふれ、名店が揃うこの町へやって来た通な大人たちで賑わい始めます。
あなたも一度、迷路のような路地裏を巡りながら、お気に入りのお店を探してみては?

とにかく坂と寺社の町!四谷寺町エリア
荒木町散策の後は、新宿三丁目駅に戻って新宿通りを渡り、寺町エリアへ進んでみましょう。
外苑通り東側の新宿区須賀町と若葉の辺りには、約25もの寺社が集中しています。
なので、静かな住宅街であるこの辺りをぶらぶらしていると、あっちでもこっちでもお寺や神社に遭遇します。
また、すり鉢状地形の荒木町同様、この辺りも台地と谷地が入り組んだ地形のため非常に坂道が多く、崖地もあちこちで見られますよ。


坂道の始まりと終わりに坂名の由来を説明した標識のある坂も多いので、読んでから坂を上って(または下って)みるのも、歴史を感じられて楽しいですよ。
ぜひ訪れたい!映画「君の名は」の舞台になった神社や服部半蔵の墓があるお寺
周辺の数ある寺社の中でも観光客に人気なのが、須賀町の高台に建つ「須賀神社」。
この神社へと続く長い階段は、2016年の大ヒットアニメ映画「君の名は」のラストシーンに登場したものなんです。
映画公開後、この階段は大人気となり、今でもこの階段で記念撮影しにやって来る人たちが数多くいます。
須賀神社は四谷エリアの総鎮守でもある由緒正しい神社で、その美しい社殿や1836年に奉納された、新宿区の指定有形文化財(絵画)の「三十六歌仙絵」など、階段以外にも見どころの多い神社です。


須賀神社についてもっと知りたい方はこちら !
他にも有名な寺社として、文禄2年(1593年)にあの服部半蔵が創建した西念寺(さいねんじ)があります。
服部半蔵は伊賀の伝説的忍者としてのイメージが強いですが、実際には徳川家康の腹心として数々の戦で名を挙げた武将であって、忍者ではありません。
「服部半蔵」という名前は、忍者一族・服部家のトップに立つ者に受け継がれるもので、言うなれば「忍者の頭領」を意味する役職名のようなもの。実際に忍者として活躍したのは初代の服部半蔵・保長(やすなが)だけで、私たちが知っている服部半蔵は、このお寺を建てた2代目の服部半蔵・正成(まさなり)のことなんです。
このお寺には、その半蔵正成のお墓と、槍の名手として知られた彼に家康が贈ったと謂われる槍(区登録文化財)があります。西念寺の寺宝であるこの槍は、戦災のために先端と矢尻が多少欠けてしまったものの、全長258㎝・重さ約7.5㎏という威風堂々としたモノ。この槍を見に、自分たちで調べてやって来る海外からの観光客も多いとのこと。「ニンジャ」半蔵正成の名は、海外の人にも知られているんですね!


この辺りはゆっくり見て回るのにとても興味深いエリアですが、あくまで神聖なお寺や神社であって観光施設ではありません。見学はどうぞお静かに!
また特に見学したい物がある場合、事前にそのお寺や神社に連絡して見せてもらえるかどうか確認してから訪れてくださいね。
- 1.須賀神社:東京都新宿区須賀町5
- 2.西念寺:東京都新宿区若葉2-9