
神主さんのお祓いアイテム、大麻(オオヌサ)
神社に参拝した際、たくさんの折り畳まれた紐状の和紙がついた棒をみたことはありませんか?これは、オオヌサといい、神社の神主さんが使う、お祓いの祭具です。

折り畳まれた和紙は、紙垂(しで)といい、特殊な切り方をして折ってあります。
現在は、紙垂 がついたオオヌサが一般的ですが、元々は、和紙ではなく木綿や麻が使われていました。そのため、大麻(オオヌサ)と呼ばれるようになったようです。
もちろん、現在でも紙垂ではなく、麻紐の束を棒につけたオオヌサもあります。
オオヌサは、お祓いの対象になる人や物に向かって、左•右•左とふってお祓いをします。
こうすることで、穢れがオオヌサに移るとされます。かつてはオオヌサを振るのは、物の穢れを祓う時だけで、人の場合はお祓いする人が手で麻を曳き撫でて、麻に罪•穢れを移してお祓いをしていました。

清めを重視する神道で使われる、『精麻』
神道で使われる麻は、大麻の皮からとれる靱皮(じんぴ)を研ぎすました繊維で、「精麻」と呼ばれます。
精麻が神道で使われるのは、オオヌサ だけではありません。古来より日本人は、川や海水につかり身体の穢れを祓い清める禊(みそぎ)でも、祓うことができないものを麻に触れることで清めることができると考えてきました。そのため、精麻は清めを重視する場面や、神聖な場所である神社では日常的に用いられます。

神社のしめ縄や聖域を囲む結界のための麻紐、巫女さんも髪を束ねるのに麻紐を使います。
最も厳重に清めが必要な役目を担当する神職がつける冠や巫女の頭には、麻を巻き付けます。

麻は、清めのツールとしてだけでなく、神霊が依り憑く対象物=依り代としても使われます。
また、神社の神官の衣装は、麻でできていて、神様へも麻が捧げられます。
これらのことから、オオヌサが大麻とかかれるように、神道と古来より国内で生産された麻との関係は深く、日本の伝統文化を支える神聖な植物であることがわかります。