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道ばたの赤い服を着た石仏は誰?
地蔵菩薩は、状況によりさまざまなものに形を変えて、人々を救うといわれます。日本では、お地蔵さんと呼ばれて庶民に親しまれています。
昔、子供は栄養失調や病などで早くに死ぬことが多くありました。
親より先に死んだ子供達は、賽の河原という死者の世界の河原で、両親や兄弟を懐かしみ、石の塔を作ろうとしますが、鬼がやってきてはそれを崩してしまいます。それを哀れんだ地蔵菩薩が、自分をこれからは親と思いすがるように、と子供達を救うお話があります。
お地蔵様は、常に立場の弱いものを救済する神様として人気があり、安産や子供達の守護神として信仰されることが多くあります。
知らなかった!赤い色の服に込められた願い
お地蔵さんの着ている赤い服は、実は、赤ちゃんのよだれかけなんです。
お地蔵さんを信仰する人は、自分の子供達への願いを込めて、お菓子と共によだれかけや頭巾をお地蔵さんに奉納します。
古来から魔除けの色とされた赤色は、赤ちゃんの産着に使われてきました。日本では、赤ん坊を赤ちゃんというように、赤は小さな子供を連想させる色です。
お地蔵さんに、赤いよだれかけを掛けるのは、魔除けのためだとか、自分の子供を亡くした親が子供の匂いのついたよだれかけをお地蔵さんに託すことで、早く子供を救ってもらえるようにお願いしたためだとか言われています。
還暦(数え年61歳)になると、お祝いとして赤い物を身につけるという風習が、日本にはあります。年を取り、暦が一巡したことで「もう一度生まれた時に戻る」と考え、赤いちゃんちゃんこや頭巾など、赤をモチーフにしたプレゼントを贈るのです。これは、お地蔵さんに、赤いよだれかけをおくるのと同じですね。
お堂の中よりも、庶民の身近にいる神様
お地蔵さんは、仏堂に安置されるよりも、あぜ道や寺院境内など野外でみることが多い神様です。
日本には、道祖神という悪霊が侵入するのを防ぎ、通行人や集落の人々を災難から守るために、村境・峠・辻などに祭られる神様がいます。
お地蔵様はこの道祖神信仰とも結びつき、道のかたわらにお祀りされるようになりました。
道祖神は、いろいろな形を取りますが、男神と女神が仲良く寄添う形が一般的です。
対して、お地蔵さんは頭は丸坊主で衣をまとい、右手に杖、左手に数珠を持っているのが一般的です
野外で見ることの多いお地蔵さまは、慈悲深く、困っている人には自分から出向いてでも助けてくれると信じられています。お堂の中にはいないで、いつでもすぐに困っている人を助けることができるよう、庶民の生活の場の近くにいる神様なのですね。