
平安時代の貴族、藤原氏ゆかりの寺院
平等院鳳凰堂は、平安時代(704~1192)を代表する寺院建築で、源氏物語の主人公の光源氏のモデルとなった人物の別荘跡に建てられた建物です。源氏物語は、平安時代の女流小説家、紫式部がかいた恋愛小説です。この時代には華やかな貴族文化が花開きました。彼らの優雅な生活は、小説の中からも想像することができます。鳳凰堂とその庭園は、当時の貴族たちが夢見た極楽浄土の光景を再現しています。平等院が建立された年は、仏教でいわれる”末法の世”という仏の教えが正しく伝わらなくなり、疫病や戦乱が流行し、混沌とした世の中が1000年続くと信じられていた始まりの年でした。
華やかさと裏表。迷信深い貴族の生活
平安時代の人たちは迷信ぶかかったことで知られています。ある貴族の朝は、自分の生まれついた北斗七星の内のひとつの星の名前を低い声で七回唱えるところから始まります。次に、歯を磨き、手を洗って西に向かい仏名を唱え、普段信仰している神様にいのります。爪をきる日も、決められていました。外出する日も、縁起がいい日柄をもとに決められていました。日柄が悪くて家に閉じこもることを「ものいみ」といい、その日は家の門をしめ、ものいみとかいた札をたてて、人の出入りを禁じました。どんな大切な用事で人がたずねてきても、日柄が最も悪い日にはあわない徹底ぶり!
鳳凰堂の阿弥陀如来と浄土教
華やかな貴族文化と隣り合わせで、目に見えない怨霊におびえ、迷信にとらわれた生活をしていた貴族たちの間には、末法の世の始まりとともに不安が高まりました。源信という僧は、煩悩に満ちた世俗に生きている俗人は死後、恐ろしい地獄に落ちる運命にあるが、ひたすら念仏をとなえ極楽浄土の様子や阿弥陀如来の姿を心に描けば、西方の極楽浄土に生まれ変わることができるという浄土教をときました。浄土教は貴族の間に広がり、極楽浄土や阿弥陀如来の姿をイメージしやすくするための建築や彫刻、絵画などがさかんにつくられました。平等院もこうした信仰の中で極楽浄土での往生を願ってたてられました。
日本の10円硬貨と1万円札をチェック!
実は、一万円札には平等院の鳳凰が、10円硬貨には平等院鳳凰堂が表面にかかれています。双方ともどうして選ばれたか理由を調べてみました!10円硬貨への採用は1951年、日本の代表的な文化財で、建築に特徴があるため選ばれました。平等院鳳凰堂の屋根の鳳凰が、1万円札の絵柄に採用された理由は、当時の日本銀行の総裁いわく、「人々に幸せや喜びをもたらすという伝説の鳥、鳳凰がお札になって世界中に流通すれば素敵だと思ったから」だそうです。ちなみに、鳳凰の前は雉がかかれていました。これらの硬貨と紙幣を日本で手にするときは、ぜひチェックしてみてください!
Map
〒611-0021京都市宇治市宇治蓮華116