
「でっかい物が大好き」という人なら、一度は行きたいダム
日本は陸地のほとんどが山であり、かつては電気供給の主役が水力発電でした。そのため、国内にはたくさんの個性的なダムが多く存在しており、専門のファンもいるくらいです。今回はそんな魅力的なダムの中から、「下久保ダム」をご紹介しますね。
「下久保ダム」は東京から2時間弱、群馬県と埼玉県の県境に位置しています。最大の特徴は、堤が垂直に折れ曲がるユニークな形状です。放流するための穴が開いてある方が「主ダム」、もう片方が「補助ダム」といいます。なんでこんな形になったかというと、主ダムだけの場合と比べると、貯水量に大きな差が出てくるからだそうです。その差はなんと、10倍というから、驚きですね。

ダムといったら、ダム湖は欠かせません
下久保ダムのダム湖である神流湖は「ダム湖百選」に選ばれた場所です。春には、桜、岩つつじが咲き、秋には、紅葉が湖面に映し出される姿は何とも風情があります。四季によって表情を変える美しい景色ですが、人の作った物によってできたことを想うと、ダムというものがいかに大きな事業かがわかりますね。
また、この湖にはたくさんの種類の魚が生息しており、釣り人にもとっても人気のスポットです。公式サイトでは「神流湖 釣りキチ番付 」と題された、釣った魚の大きさを自慢するランキングが載っています。今のところ最大のサイズはオオクチバスの49センチ。メールで写真を送るだけで登録完了なので、釣り好きの方はぜひチャレンジしてみてください!

美しさを取り戻した「三波石峡」
下久保ダムの下流には、日本庭園では欠かせない高価な庭石として用いられる「三波石」が取れ、また美しい景色を望める「三波石峡」があります。実はこの渓谷、復元に成功した渓谷なんです。ダムの影響で、一時は完全に水の干上がった状態でした。水の流れで磨き上げられていた「三波石」も輝きを失い、「三波石峡」は寂しい場所になっていたのです。
美しい姿を取り戻そうと、下久保ダムはアクションをおこします。2001年7月から計画的な放流を開始しました。可能な限り、元の河川環境へと近づけようと、水だけでなく土砂も一緒に流す徹底ぶり。放流を開始してから10年以上が経過した現在では、昔と変わらないくらいの素晴らしい景色を見ることができるようになりました。私たちの生活を豊かにしてくれるダム。一方で環境にかける負荷が大きいことも事実です。ちょっと大げさですが「下久保ダム」は、人と自然の共生というものに対する一つの答えともいえるかもしれません。
また下久保ダムの近くにある城峯公園では、10月下旬から12月上旬にはとても珍しい冬桜が咲き誇ります。薄紅色の小さな八重の花を咲かせ、周囲の紅葉した樹木と共に美しい光景が見れますので、この時期にぜひ行ってみてください!
Map
埼玉県児玉郡神川町大字矢納1356-3