奈良には氷を愛する神様が坐ますというーひむろしらゆき祭
ひむろしらゆき祭は、昨年8月から奈良の氷室神社で始まったかき氷のお祭りです。1300年前、都が奈良の平城京におかれたのにともない、奈良の春日野に氷池や氷室がつくれられました。この時代、人工的に氷をつくることは難しく、氷室という地中や山陰に掘られた穴に天然の氷を夏まで保管していました。その頃、春日野につくられた氷室に氷の神様を祀ったのが氷室神社の始まりとされています。氷の神様のおひざもと奈良を氷のまちとして国内外に発信すべく、ひむろしらゆき祭はスタートしました。
有名店の自慢のかき氷を味比べ
夏になるのが待ち遠しい!氷に甘いシロップをかけて食べるかき氷は、日本人にとって夏の楽しみの一つです。 境内には、全国の有名かき氷店が一同にあつまり、氷の削り方やシロップの味など、それぞれのお店の工夫をこらしたとっておきのかき氷を提供しました。このかき氷を一口、口にしようとたくさんの人が集まり、整理券が配られていました。ちょうど、神社についたのはかき氷の提供がはじまったくらいで、たくさんの人でごったがえしていました。
氷の神様も食べたい、かき氷とみぞれ茶
祈願祭では、参加店舗の繁栄祈願とかき氷奉納、氷点前と献茶が神前で行われました。点前とは、日本の茶道用語で、抹茶をたてる時の作法をいいます。献茶の後、先着100名にみぞれ茶がふるまわれました。小さなお椀に入った真っ白なかき氷が配られ、奈良時代の衣装をきたスタッフに、みぞれ茶をそそいでもらいます。真っ白いかき氷は、涼しげで雪のようで美しかったです。宮司さんの白い衣装も、雪をイメージさせて、すがすがしい気分になりました。冷たいお茶はのどを潤し、かき氷と共に来場者に夏の暑さを忘れさせてくれたようです。
氷のごちそう、かき氷と日本人の歴史、そして氷の神様
かき氷が庶民に食べられるようになって、実はまだ150年ほどしかたっていません。1869年に横浜で町田房造という人がアイスクリームとともにかき氷を販売したのが、かき氷店の始まりといわれています。氷は長い間、貴族や権力者のものでした。 祈願祭で、かき氷を神前に奉納して祈願する姿は、氷が簡単につくれるようになっても、氷を敬い大切にする人たちの気持ちに変わりがないことを伝えていました。ひむろしらゆき祭は、まだはじまったばかり!来年も開催されます。来年の夏は、日本の食文化を、全国のかき氷店自慢のかき氷で氷の神様と一緒に体験してみませんか?
Map
奈良県奈良市春日野町1-4