近くて遠い、東京新名所「赤坂迎賓館」

学生、ビジネスマンでいつも賑わう四ツ谷駅から徒歩7分、いつもなにげに見てはいるし、誰でも名前は知っている「迎賓館」。一体誰がどのような目的で建設したのかご存知でしょうか。広大な敷地に、細部までこだわりぬかれた館内。今回は建設直後に起きたあまり知られていない面白エピソードとともに、迎賓館の魅力をご紹介します!


かつて「日本のヴェルサイユ宮殿」と称された迎賓館の建設費用は本家の倍以上

GoogleのCMで話題になった兵庫県にある竹田城は“日本のマチュピチュ”と呼ばれ、2011年に世界自然遺産として登録された小笠原諸島は“日本のガラパゴス”といった具合に、「日本の◯◯」って表現が私たちは好きですよね。ちなみに私の出身地である柏はなぜか“千葉の渋谷”と言われています(柏市民を除く千葉県民はこれについてはあまり私も含め肯定的ではありません)。それはさておき、“日本のヴェルサイユ宮殿”と呼ばれる建築物はご存知でしょうか?それが迎賓館。正式には「赤坂迎賓館」と言います。四ツ谷駅から近いため、新宿区に位置しているのかと思いきや、迎賓館は住所でいうとギリギリ港区になります。

宮殿の大きさは東西125m、奥行き89m、高さ23m(3m/階とすると大体8階建てぐらいでしょうか)で、敷地面積は117.992mで、東京ドーム2.5個分に相当するそうです。ちなみに日本では大きな建物や敷地はだいたい東京ドームに換算しますが、これはなんとなくの慣例で、特に明確な理由はないそうです。

それはさておき、この巨大な宮殿、建築費も膨大で、当時の工事費用は510万円、現在の価値でいうと1000億円にあたると言われています。現在では2000億円かけても造れないと言われている“日本のヴェルサイユ宮殿”ですが、フランスにある本物のヴェルサイユ宮殿の工事費用はなんと現在の価値でたった400億円だったそうです。200年以上早くヴェルサイユ宮殿が建設されているため、時代も国も違うとはいえ、ルイ14世もマリーアントワネットも、その工事費用の違いには驚くかもしれないですね。それだけの巨額のお金を費やし、ネオ・バロック様式と呼ばれる重厚かつ華麗なたたずまいで港区にそびえたつ迎賓館は、門の外から眺める外観だけでも目を奪われる美しさで、施設内も見学したくなるのは私だけではないと思います。

屋根上両サイドには、銅鋳物の甲冑を付けた武将の像が見えます。
羽を広げているのは鸞(らん)という鳥
正面玄関の上方には菊の紋章が飾られています

もともとは皇太子の御所として作られた〜「豪華すぎる」明治天皇の非情なダメ出し

迎賓館は元々1909年に当時の皇太子殿下(後に大正天皇となる)の住まいとして建設された建物です。ですから、今でも東宮御所(皇太子御所)の敷地と続いているのです。建設した片山東熊は皇太子殿下のために立派な建物を建てようと、ヨーロッパへ渡り、1年間宮殿などの建築物を学び、日本に帰国しました。それから10年の歳月をかけ、ついに1909年に迎賓館が完成しました。しかし、これを見た明治天皇のあんまりな一言が、
―豪華すぎる。
それを聞いた片山はあまりのショックに寝込んでしまったそう。実際、あまりに広くて住居としての使い勝手が悪い、また、煉瓦石造の建物は高温多湿の日本の気候に合わず、冷房のない時代には室内の温度がかなり高くなったこともあって、のちの大正天皇である嘉仁親王、後の昭和天皇である裕仁親王合わせて5年ほどしか御所としては使用されなかったそうです。

正面の門は実際に近づいてみると、とても大きく、真下からでは写真に収められないほど。確かに、豪華であることはこの正門からも伝わりますね。

戦後の一時期は国会図書館だった

第二次大戦後、建物は皇室から国へ移管され、1948年から13年間、国会図書館として一般国民も自由に利用できました。その後は一時裁判所になったり、前回の東京オリンピックの組織委員会が置かれたりした後、それまで国賓を迎える場所として使用していた白金台の旧浅香宮邸に変わる施設として1974年に現在の形に改修・竣工しました。ちなみに旧浅香宮邸は現在の東京都庭園美術館です。

出典 「日本人として知っておくべき歴史」
http://hinode.8718.jp/photo_1900_japan_reception_hall.html

迎賓館は京都にもある

赤坂迎賓館は外国から来日した首相や元首など国賓をお迎えし、宿泊やその他の接遇を行うための施設です。賓客を迎えている間には、首脳会談、式典、レセプション、晩餐会などといった行事が開催され、外交の一翼を担っている非常に重要な場所であると言えます。ちなみに迎賓館は京都府にもあり、2005年に竣工したこちらは和風の建築物になっています。

出典 「the japan times」https://goo.gl/ceieP1

赤坂迎賓館に訪れた最初の賓客はアメリカ大統領のフォード大統領で、最近では2017年11月5日にトランプ大統領が初来日を果たし、首脳会談が開かれました。

出典 「毎日新聞】
http://mainichi.jp/graph/2012/08/31/20120831org00m030005000c/026.html

2016年から通年一般公開されていることは実はあまり知られていない

以前はごく限られた時期にのみ一般公開を行っていましたが、2016年から通年で一般公開を行っているので、その“豪華すぎる”迎賓館を実際に見学してみてはいかがでしょうか。外観は完全な洋風ですが、館内には鎧兜の意匠があるなど、凝った作りになっています。また、外からは見ることのできない、敷地内の和風庭園や和風別館も見学できます。

一般公開しているスケジュールは以下のアドレスから確認できます。
http://www.geihinkan.go.jp/geihinkan/akasaka/koukai.html
※事前申し込みが必要な本館・主庭及び和風別館は、2か月前からの予約となります。

また、さすがSNS時代と言われているだけあります。“公開”されているのは見学という意味でだけではなく、東京・京都どちらの迎賓館も公式Twitterにて“公開”されています。

さて、私が迎賓館をツアーで訪れた2017年11月25日土曜日、一般車がスピードを緩め、道路の端に止まろうとしたら、ビーッ、ビーッとさますさまじい笛の音が鳴り響きました。どうやらルクセンブルクからの賓客の訪問が予定されていたようで、現場にいる十数人の警備員が警備の目をかなり光らせていました。まさに“厳戒態勢”という状況です。迎賓館の見学に来ている人々がガイドさんの説明を受けている最中も、走行中の車やジョギングを楽しんでいる人に笛が時折鳴り響き、めったに遭遇することのない状況に私もなぜか緊張しました。

せっかくの機会だということで、十数分間ルクセンブルクからの賓客を乗せた車を待っていると、正門の重い扉が警備員の手によって開かれ、道路の左端から“いかにも”という車がゆっくりと走ってきました。

先頭を走るその黒い“いかにも”な車に、やはりはるばるヨーロッパからいらした国賓が乗車していたようで、見学者が手を振ると、中から手を振りしっかりと応えているのが目で確認できました(残念ながらカメラにおさえることは出来ませんでしたが)。

後ろに続く数台の車が門を通過し終わると、重い門がゆっくりと再び閉じられ、そこに偶然居合わせた見学者の方々も満足そうに次の目的地へと向かっていかれました。

ぜひ赤坂迎賓館へ実際に足を運び、ご自身で外観や館内を見ていただきたいと思います。足を運ぶ価値のある建築物であることは間違いないからです。写真で見るよりも遥かに美しい迎賓館に感動することでしょう。もしかしたら何かラッキーな出来事に遭遇できる可能性もあるかもしれませんね。

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Tadaima Japan Editorial Team

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Address 東京都港区元赤坂2-1-1
Hours 一般公開日・公開時間はHPに準ずる
Price 無料
Close -
Access 四ツ谷駅 徒歩7分
Phone 03-3478-1111
Language 日本語
英語
Website http://www8.cao.go.jp/geihinkan/common-public-opening.html