日本特有の建築文化『鬼瓦』を奈良の寺院でみつけよう!工芸体験でミニ鬼瓦制作も!

奈良の寺院を訪れると、屋根や門の棟端に、板状の鬼の顔をした鬼瓦が飾れていることに気がつきます。鬼瓦は日本特有の建築文化で、古い和式建築に使われます。
鬼面の鬼瓦は、なぜ日本で飾られるようになったのでしょうか?
寺院の多い奈良と瓦の関わり、鬼瓦の由来や背景を探ります。また、奈良の寺院のミニ鬼瓦をつくることができる工芸体験をご紹介します。

2017-04-13   CULTURE, 奈良,

鬼瓦


鬼瓦
鬼瓦

寺院の棟端に飾られる、鬼面の鬼瓦

日本のお寺を訪れる機会があれば、門や屋根の棟端を観察してみてください。鬼の顔をした板状の瓦が、棟端を守るかのように飾られているのに気がつくと思います。

日本人は、古来から天に最も近い所に神様は降臨すると信じました。そのため、建物の一番高い所にある棟端を神の降臨する神聖な霊所として、飾り、祝い、崇めました。
鬼瓦は、神聖な霊所を守り、邪気が建物の中に入らないように防ぎ、福を招く魔除けのために飾られます。

鬼は日本の伝説に伝わる怪物です。人間の姿で頭に角があり、裂けた口に鋭い牙をもち、裸でトラの皮のふんどしをしめています。日本人にとって、昔話に登場する鬼は、怖い存在であると同時に、魔力をもち病気や災いを防いでくれる、身近な神様でもありました。その鬼の魔力に頼り、鬼面の鬼瓦を魔除けに飾るようになったと思われます。

鬼面のイメージが強い鬼瓦ですが、建物により鬼面だけでなくいろいろな意匠があります。

瓦製造技術の伝来と鬼面の鬼瓦

日本で最初の瓦葺建物は、奈良県明日香村の飛鳥寺といわれています。この寺の建立にともない、588年に朝鮮半島の百済から瓦博士が来日し、その技術を伝えました。この頃の鬼瓦は、鬼面ではなく、蓮の文様が装飾されていました。

平城宮跡
平城宮跡

鬼面瓦は、都が平城京に置かれた奈良時代(710〜794)にはいってから、近畿地方を中心に飾れるようになりました。初めは、平城宮や平城京の寺々でまず使われ、全国へと広がっていきました。平城宮•平城京で出土した奈良時代の瓦は、平城宮跡にある平城宮跡資料館の常設展で、見る事ができます。

奈良時代の首都 平城京とその宮殿跡『平城宮跡』

平城宮跡資料館常設展
平城宮跡資料館常設展
平城宮•平城京出土、鬼瓦
平城宮•平城京出土、鬼瓦

日本の鬼瓦の基礎をつくった、奈良•瓦大工 橘一族

平安時代(794〜1185)をへて、鎌倉時代(1185〜1333)中頃までは、型に粘土を押し込んで造られていた鬼瓦は、生産体制の変化により、手作りで一つ一つ造られるようになりました。

 法隆寺
法隆寺

興福寺や法隆寺などの、奈良の大寺院には専属の瓦大工がいました。
室町時代(1336〜1573)に活躍した、奈良•法隆寺の瓦大工、橘国重(たちばな くにしげ)が2本の角をもつ立体的な鬼瓦を生み出したといわれています。その子の吉重(よししげ)は、釘を使わないでもずり落ちない瓦を考案したり、繊細な文様や複雑な造形に適した粘土をつかい、瓦に土の内容や名前を印しました。これらの、瓦は、当時の瓦技術を知る上での貴重な資料になっています。

その後、何世代かにわたり14世紀〜18世紀まで近畿一円で活躍した橘一族は、現代につながる日本の鬼面瓦の基本形づくりに貢献しました。

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寺院から民家、鬼面から願いの形へ。鬼面瓦が寺院で多くみられるのはなぜ?

民家の鬼瓦 水
民家の鬼瓦 水

瓦博士により瓦の製造技術が日本に伝わってから、瓦は長い間、寺院や城郭に主に使われました。当時の庶民の屋根は板葺きか草噴きが一般的で、瓦葺きの必要がなかったのです。
その後、江戸時代(1603〜1868)後期に、火災対策のため瓦葺きが庶民の屋根に推進されるようになり、一般に普及しました。

鬼面の鬼瓦も、初めは民家の屋根に飾られましたが、隣近所を睨みつける様子は印象が悪く、敬遠されるようになりました。その代わりに、民家の鬼瓦は鬼ではなく福の神や様々な願いをこめた形にその姿をかえて、飾られるようになっていきました。
これが、鬼面の鬼瓦が寺院に飾られ、民家にはみられない理由です。

現在、お寺で鬼面の鬼瓦が多く見られるのは、長い間それが主流だったのと、民家の鬼瓦は鬼面ではなくなってしまったからなのですね。

鬼瓦
鬼瓦

奈良のお寺の鬼瓦に注目!鬼師たちのユニークな作品をみつけてみよう!

鬼瓦には、魔除け以外にも機能的な面での役割があります。棟の切り口を隠して、雨水の侵入を防ぎます。また、芸術的な美しさから装飾的な意味あいもあります。

一つ一つ姿が異なり、機械化が難しく、高度な技術と感性が必要な鬼瓦を手づくりでつくる職人は、尊敬をこめて、鬼師とよばれます。それぞれデザインや顔の表情の異なる鬼瓦は、鬼師の芸術作品ともいえそうですね。
奈良の寺院を訪れる際には、仏像にかくれて見落とされがちな鬼瓦にも目を向けてみてください。橘国重らが活躍した法隆寺は、全国の鬼師達にとってよりどころになる寺院で、鬼瓦の宝庫です。

鬼瓦
鬼瓦

奈良、東大寺•薬師寺•法隆寺のミニ鬼瓦がつくれる工芸体験

国宝や重要文化財などの瓦屋根修理も手がける奈良の株式会社瓦道では、東大寺•薬師寺•法隆寺の3種類のミニ鬼瓦をつくる工芸体験もできます。
東大寺•薬師寺•法隆寺のミニサイズの鬼瓦の型から好きなお寺を選び、石膏型に粘土をおしこんで、裏面に名前や願い事などをかきます。型どりしたミニ鬼瓦の焼き上がりには、3週間ほどお時間がかかります。
焼き上がったミニ瓦は、魔除けのお守りや文鎮などに、奈良のお土産として持ち帰ることができます。
株式会社瓦道

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kyoami

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民具や生活道具、伝統工芸、日本のアンティーク好き。生活の中で生まれた日本人独自のセンスや技術、その背景にある宗教観や由来をさぐります。

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