日本で唯一残る『マルサ斉藤ゴム手作り風船工場』の秘密を探る!

子どもの頃から身近にあり、慣れ親しんできた風船。風船に水を入れて遊ぶという、夏の思い出として鮮やかに残る水風船は『マルサ斉藤ゴム』から生まれました。そんな風船の独特な可能性を常に模索する『マルサ斉藤ゴム』の新商品「マルサバルーン」の製造を一手に担う『マルサ斉藤ゴム手作り風船工場(伊藤ゴム風船工業所)※以下「風船工場」』では、どのような工程で製品が生まれているのでしょうか?その秘密を探るべく、手作り風船工場見学に行ってきました!

2017-01-13   CULTURE, 千葉,

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【 目次 】

風船一筋40年!職人が作る手作り風船の秘密

『マルサ斉藤ゴム』の個性的な製品はどんな工場で生まれているのでしょうか?その製造過程に興味が湧いた私は、千葉県銚子市にある風船工場を訪れました。

AMラジオが流れる工場内には年季の入った機械が並び、40年以上の職人暦を持つ伊藤さんご夫妻を中心に、無駄のないテンポで作業が進められています。

Mr. and Mrs. Ito with their wonderful smiles.
笑顔の素敵な伊藤さんご夫婦

現在市場に出回る風船の多くは、その工程が機械化され、必要な加熱時間を短縮させる為にゴム添加剤が加えられています。その為、ゴム膜の厚みや伸張率、膨らましやすさ等、ゴム風船の特性が損なわれます。

そんな中、『マルサ斉藤ゴム』で使用されている風船の原料ラテックスは、主に東南アジアのゴムの木から採れる天然の樹液からできています。ラテックスは日光や水によって分解され、土に還るという地球に優しい特徴を持ちます。伊藤さんご夫婦は、子どもでも膨らませられる柔らかさと丈夫さを兼ね備えた風船を作ろうと、夫婦二人三脚で心のこもった風船作りを続けているのです。

手作り風船の作業工程に迫る!

それでは実際の工程をご紹介しましょう。

1.風船を膨らませた時に風船の色を綺麗に発色させる為、塗料の粒子を細かくする
→ボールの入った容器に入れて、2日間遠心分離機にかける

Drums of latex for balloons
風船の原料ラテックスが入ったドラム缶

2.1の塗料にタイやマレーシアから届いた風船の原料であるラテックス(天然ゴム)を混ぜる
3.でき上がったゴムの原料が固まるのを防ぐ為にアンモニアを加える

A container for the centrifuge paint and the completed paint
遠心分離機にかけられた塗料の壷とできあがった塗料

4.できあがった風船の原料をプールと呼ばれる四角い入れ物へ移す

Brightly colored balloon material and a solution to make it firm
色鮮やかな風船の原料と、風船を固まらせる溶液

Glass and aluminum molds are used in the old-fashion recipe.
昔ながらの手作り製法にはガラスでできた風船の型かアルミ型が使われる

5.真空のガラス型を風船の原料に浸ける

The staff rotates a handle on an old machine.
年季の入った機械は手動のハンドルで操作

6.風船に付いているゴミや泡を念入りにチェックし、それらをピンセットで取り除く

They carefully check for dust and foam on balloons.
上下左右など、角度や方向を変えながら入念にチェック

7.風船を乾燥させる専用の棚で液だれをチェックしつつ、上下を入れ替えながら乾かす

8.風船を固める溶液に浸す

9.乾燥室に入れて乾燥

A staff member drying balloons in a drying chamber, while adjusting the furnace fire.
炉の火を調整しながら風船を乾燥させます

10.この工程を製品によって3~4回繰り返す

この丁寧な作業を繰り返す事で、皮膜が徐々に厚くなり、柔らかい手触りで子どもでも膨らませやすい風船ができ上がるのです。

次世代へと引き継がれていく手作り風船の歴史

この手作り風船作りを担う職人として、今年入社した伊藤 貴明さんに手作り風船作りの大変さと今後の展望をお伺いしました。偶然にも職人である伊藤さんと同じ苗字の伊藤さんは、1人の募集に54人もの応募があった超難関を見事に突破し、風船職人への道を歩み始めました。

Mr.Takaaki Ito bears the future of these balloons
手作り風船の未来を担う伊藤 貴明さん

伊藤 貴明さん「以前から物作りに関わる仕事をしていましたが、お客様の顔が見える物作りに携わりたいと思いこの仕事に就く事を決めました。ずっと立ちっぱなしで動き続けているので体力的にも大変な仕事ですし、風船の原料や溶液の管理も難しいので覚える事はまだまだあります。今後は仕事をいち早く覚えて、今までに見たこともないような風船を作りたいですね。」

35歳の伊藤さんが体力的に厳しいとお話する大変なお仕事を、御歳72歳の伊藤さんが40年以上も続けてこられたのはなぜなのでしょうか?その仕事の難しさと、その秘密を伺ってみました。

伊藤 房男さん「ゴムは生き物なので、毎日違う気温の変化や状況を感じ取りながら管理をしなくてはなりません。でもそうやって手塩にかけてできあがった風船を、子ども達が手にして笑顔になるのを見ると、やっぱり嬉しくて風船作りがやめられなくなってしまいます。伊藤くんにはこの手作り風船を継続してもらいながら、自分で考えて好きな製品を作ってほしいですね。」

真剣な表情で作業をする伊藤さんにお話を伺うのは緊張しましたが、「子ども達の笑顔が嬉しい」とお話する際に伊藤さんの表情が瞬時に緩み、笑顔がとても晴れやかだったので、心底この仕事を誇りに思い、子ども達へのその想いが風船に宿っているのだと感じました。黙々と作業をこなす伊藤さんと伊藤くんでしたが、時折声を掛け合って笑顔になる場面もあり、今後の手作り風船の未来も明るいなと思いました。

手作り風船を支える女性の活躍

でき上がった風船の吹き口作りは、こちらも職人暦40年以上の伊藤さんの奥様である陽子さんの仕事です。こちらの機械には棒の先端にブラシが取り付けられており、それらがクルクル回っているところに風船の型を前後させる事で風船の吹き口が丸まります。作業中に外れてしまった機械のパーツを、陽子さんがあっという間に直してしまう一幕も。

The machine to make the mouth of the balloon
風船の吹き口を作る為の機械

そうしてでき上がった風船は、ガラスの型から一つ一つ取り外さなくてはなりません。私も体験させていただきましたが、思ったより力が要る作業で、同じ体勢で作業を続けなくてはならない大変なお仕事。こちらを担当されている陽子さんとスタッフさんは、驚くほどのスピードで風船を一つ一つ丁寧に型から外し、風船がくっつかないように手際よく粉をつけていきます。

Balloons in various shapes and colors
様々な形を風船

最後の仕上げは点検作業。形の崩れや傷などがないか念入りにチェックします。
工場では形も色も様々な風船が作られていますが、中には手品に使われるゴム製品なんていう変り種も。

The finishing process needs attentiveness from the female staff.
細やかな最終チェックは女性の仕事

通常の風船に比べて、動物の形などをしている特別な風船は、型から取り外すのも一苦労だそうです。それでもこうして手作りで風船を作り続けられるのは、使った人達の幸せを心から願うスタッフ皆さんの心を、お客様の笑顔が支えているからなのだと感じました。

The Staff at Ito Balloon
伊藤ゴム風船工業所の皆さん

風船を使う方々の笑顔を胸に、決して楽とは言えない作業を毎日こなしている風船工場の皆さん。その皆さんの笑顔は、風船で無邪気に遊ぶ子ども達のように輝いていました。
今回の取材で感じたのは、日本人のものづくりに対する想いの強さと、時代の流れを切り開き、世界に挑戦する新たな世代の力強さです。日本の伝統を守りながら、次代の流れに乗って革新的な挑戦を続ける『マルサ斉藤ゴム』の動向に今後も目が離せません!

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Map

千葉県銚子市君ヶ浜

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koume

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福岡出身で現在東京在住の小梅です!オーストラリアに5年 半、フィリピンやカンボジアでの海外生活を通して、日本の素晴らしさを再確認しました 。新たな視点で日本人にも外国人にも楽しんでもらえる記事作りを目指します☆

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Address 千葉県銚子市君ヶ浜8741
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Phone 0479-23-2457
Website http://www.maru-sa.co.jp/