「雨樋」をおしゃれに見せる、日本の和風建築が面白い!

屋根をつたった雨水を集めて、下水まで運ぶ役目を果たす雨樋。日本の建物は西洋化が進み、雨樋の存在感をいかに隠すかに重きをおかれているように感じますが、和風建築ではそれをいかにかっこよく見せるかということに重きが置かれてきました。今回はその素材と歴史にせまります。

2016-07-15   CULTURE,

銅雨樋


【CONTENTS】
神社仏閣から庶民の生活へ。日本の雨樋
お城の屋根や神輿にも使われている素材で作られた雨樋
和風建築と雨樋散策に出発!日本建築は面白い!
時とともに色の変化を楽しめる日本の雨樋

雨樋
雨樋

神社仏閣から庶民の生活へ。日本の雨樋

梅雨の季節。部屋にいると屋根に降り注ぐ雨の雨音が耳に心地よく響きます。雨水は、屋根をつたい、雨樋へと運ばれ、建物の側面を通って、下水へと導かれます。
現在は、日本のどの家でも当たり前のようにみることのできる雨樋ですが、元々は神社仏閣に使われていたものが、庶民の生活の中へと広がったものなのです。

茅葺き屋根
茅葺き屋根

現存する最古の雨樋は、733年(奈良時代710~794)に建立された奈良・東大寺三月堂の木製の樋といわれています。神社仏閣には飛鳥時代(592~710)に中国・朝鮮から伝来した瓦が使われたのに対して、1720年(江戸時代1603~1868)に幕府が防火のために屋根を瓦ぶきを推進するまで、一般的な建築物は、草ぶきやかやぶきが主流であったことがあげられます。草ぶきやかやぶきの屋根は水分を屋根自体が吸収するため、雨樋の必要がなかったのです。

お城の屋根や神輿にも使われている素材で作られた雨樋

現代の洋風化されたモダン建築の中で、雨樋はシンプルにスマートに、あまりデザインせず建物にとけ込むように意図されているように感じます。その素材も、安価な塩化ビニールのような新建材が使われています。

洋風建築の雨樋
洋風建築の雨樋

では、伝統建築ではどうでしょうか?日本の和風建築の伝統的な素材は銅です。
銅はお城の屋根や神輿を飾る金具としても使われてきました。

大阪城
銅製の屋根:大阪城
神輿
神輿と装飾金具

銅を切り抜き、鏨(たがね)で細かい文様を彫りつけていく錺師(かざりし)の仕事は、日本伝統建築を影でささえる装飾技術としてその美意識を伝統とともに伝えています。

和風建築と雨樋散策に出発!日本建築は面白い!

江戸時代(1603~1868)以降の町家が多く立ち並ぶ、奈良町の雨樋を見てみましょう。
左側のシンプルな雨樋に比べて、右側の雨樋はその形状に特徴があり、伝統的な文様が施されているのがわかります。素材は銅でできています。

銅雨樋

こちらは、上部から管をつたって下部の雨樋に水が注ぎ込む部分に、伝統的な瓦になじむように装飾したパーツを組み合わせています。

雨樋

雨樋

どちらも、その形状や伝統装飾をデザインしながらも、和風建築にさりげなくとけ込み、独自の存在感を見せています。

時とともに色の変化を楽しめる日本の雨樋

銅の特徴として、時の経過とともに緑青色に色が変化していきます。銅でつくられた銅雨樋も、時がたつほどその色は緑青をふいて風格をましていきます。塩化ビニールやプラスチックの新建材では、古くなっても銅独自の風格をだすことはできません。

銅雨樋
銅雨樋と風格のある銅製の看板

銅雨樋は、和風建築に日本の美意識を感じさせる意匠をさりげなくくわえながら自然にとけこみ、時代をへてもその建築に風格を与えながらよりそい続けていきます。
雨の季節、日本の和風建築をみる機会があれば、銅雨樋を見つけて観察してみるのも面白いですね。

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kyoami

kyoami

Writer/ Translator

民具や生活道具、伝統工芸、日本のアンティーク好き。生活の中で生まれた日本人独自のセンスや技術、その背景にある宗教観や由来をさぐります。