素材への尊敬を原点に、Made in Japanクオリティにふさわしい革作りを目指す職人の想い【藤豊工業所】

今回Tadaima Japanスタッフは、東京都墨田区に位置するクロコダイル、パイソン、リザードなどの爬虫類皮革(エキゾチックレザー)を鞣しから染色、仕上げ、そして製造まで一貫して専門に扱う【藤豊工業所】に見学に行きました。クロコダイルの皮革を扱えるタンナーは、素材自体が希少な事から世界で20社程しかなく、その内のなんと6社が日本で運営されています。
通常は一般見学を受け入れていない中、今回は特別に藤城耕一さんの案内のもと、昭和35年(1960年)創業の歴史とその技術、革に対する職人の想いを取材してきました!

※タンナー:アフリカや東南アジア等の原産国から輸入した「原皮」を「革」に加工する工場のこと。

2016-05-16   DESTINATIONS, GOODS, 東京,

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【 目次 】

【目次】
1:下町の工場で生まれる世界クオリティの革製品
2:皮加工で重要な「なめし」の工程
3:職人の技が試される「染色」の工程
4:真価が問われる「仕上げ」の工程
5:素材の特性を最大限に活かした自慢の革製品
6:伝統を守り、次世代を切り開く信念

1:下町の工場で生まれる世界クオリティの革製品

最初に足を運んだのは、届いたばかりのワニの皮が入ったコンテナのある倉庫です。ワニの皮を加工するにはその新鮮さが大切な為、この木箱の中には塩漬けにされ、余分な水分が抜けた状態の皮が大切に納められています。

ワニはその数が減少するのを防ぐ為にワシントン条約で厳しく保護されており、現在では革製品の原料となる皮の80%は養殖されたワニが使用されています。

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塩漬けにされたワニの皮が入った木のコンテナ

ワニの革は牛やその他の革と違い非常に緻密な構造なので、丈夫な上に独特の肌理の細かさや心地よい触感が特徴で、年月を経て輝きを増すという素晴らしい性質があります。しかしそれゆえに加工・染色には特殊な工程と熟練の技が必要となり、ワニの皮の加工には最短で3ヶ月もの時間と全部で50もの気の遠くなるような工程を要し、これには牛の皮の約6倍もの時間がかかっています。

2:皮加工で重要な「なめし」の工程

塩漬けされたワニの皮は、最初に約1週間特別な溶液に浸されて塩分や皮に付着している汚れを取り除きながらその潤いを取り戻し、その後別の溶液に移して不必要な表面の鱗等が除去され、皮を柔軟にさせます。

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特別な溶液に浸したワニの皮を入念にチェック

そして皮に耐久性を与える為に「金属鞣し(クロム・アルミニウムetc.)」、「天然タンニン鞣し」のいずれかの方法で皮を鞣します。この工程では気温や水温、気候によって薬剤の効き方が大きく変わるので、【藤豊工業所】では手書きのノートで情報を最新の状態に更新しながら細かい管理をしているのです。この鞣しの工程を経ると皮は青く変色し、「皮」から「革」へと生まれ変わります。

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クロムによって青く変色したワニの革

その後皮を染色する為に漂白剤を使って白くブリーチして本来持っている地模様を除去して無地の「クラスト」と呼ばれる状態になります。

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ブリーチ後に白くなったワニの革

革に風合いを持たすために重要な乾燥は、板に皮をしっかりと広げて乾かす「釘張り」と「ネット張り」や、ワニの独特な皮の特徴を強調する「吊り干し」の3通りがあります。
充分に熟成された革は、その後染色の工程へと移っていきます。

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釘張り乾燥の様子

3:職人の技が試される「染色」の工程

素肌のような透明感と自然な発色にこだわる【藤豊工業所】では、染色時の温度や湿度の差、そして素材の個体差を計算に入れながら、その都度染料のレシピを書き換えて最良の発色を目指しています。

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クリアで自然な色味を調合

顧客のニーズに確実に応えると共に、オンリーワンの製品を生み出す為に単色で染め上げるのではなく、複数の色を組み合わせる事で色の深みが生まれるのです。

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複数の色を組み合わせて、色に深みを生ませる

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今までに染められたワニ革の見本

4:真価が問われる「仕上げ」の工程

染色を終えた革は自然な色合いの「マット仕上げ」と、耐水性や美しい艶を出す為に艶剤を塗装してメノウによる摩擦熱で艶を出す「グレージング仕上げ」という2種類に分類されます。

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自然な色合いが特徴のマット仕上げのワニ革
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艶が美しいグレージング仕上げのワニ革
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ワニ革に艶剤を塗装している様子

こちらはリングマークトカゲの革ですが、一旦オフホワイトに染色し、そこに白と黒の顔料を塗り上げた革を1枚1枚職人の手によって磨き上げられ、顧客の要望に沿ったアンティーク革へと加工されています。

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職人が一枚一枚黒の顔料を磨き上げ、右のアンティーク革へ
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丁寧に顔料を磨き上げていく職人

同じワニの皮でも、革の質感や色、加工方法により様々な革製品へと加工されていくのです。

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顧客のニーズに柔軟に対応して作り上げられたワニ革

最後の工程では、染め上がった革をメノウ石やコットンバフによる摩擦熱で仕上げていきます。

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ペダルの微妙な加減で仕上げ加工をする職人

仕上げ作業には技術と長年培った経験の結晶が集約されており、コットンバフによる“ソフト仕上げ”では、深みのある自然な艶を纏わせる為に、その微妙な圧力を足で調節しながら美しく、かつ繊細に磨き上げられています。その最高品質の質感から、多くの顧客に人気を博しているのです。

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コットンバフでの仕上げ後(左)と仕上げ前(右)

この仕上げ作業を受け持つ職人になる為には、365日毎日その作業をし続けてやっとスタートラインに立てると言う程の高い技術とセンス、そして経験が求められます。

一方メノウ石で「グレージング仕上げ」を施された革は独特の鮮やかな輝きがあり、また一味違った革の魅力が感じられます。

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メノウ石の摩擦熱で独特の艶を出すグレージング仕上げ
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グレージング仕上げで輝きを増したワニ革

こちらの革は更に追加の工程が必要とされる特別な加工が施されて最高級のクオリティを誇り、世界の様々な有名ブランドへと卸されています。

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特別な仕上げを施し最高級のクオリティを誇るワニ革

5:素材の特性を最大限に活かした自慢の革製品

更に【藤豊工業所】の同敷地内にある工房では、自社で加工した革を使った品質と付加価値の高いOEM・ODM製品も製作しています。

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個性的で自由な発想のオリジナル革製品にも対応

それらの製品は「FLEDGE(フレッジ)」と言うブランド名で、全国の百貨店やオンラインショップでも販売されています。
オンラインショップ:http://www.fujitoyo.tokyo/
オンラインショールーム:http://fujitoyo.wix.com/fujitoyo

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革の事を知り尽くした職人の手作業による製品作り

6:伝統を守り、次世代を切り開く信念

【藤豊工業所】では革加工の長年の伝統を守ると共に、その時代や顧客の多様化するニーズに応える為に、その道のプロである職人の技に加え、新しいアイディアや挑戦を受け入れるという柔軟さも持ち合わせています。

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革の新たな可能性に挑戦

顧客の満足度に直結するこだわりの手触りを持つ革に仕上げると共に、これまでにない新技術を開発し続けているのです。
また、東京都観光局の水質汚濁防止排泄基準に則り、工場敷地内に排水処理設備を完備して工業排水を適切に処理しながら環境対策にも真摯に取り組んでいます。

今回Tadaima Japanスタッフが見学によって感じたのは、ワシントン条約の精神を理解し、皮本来の圧倒的な気品と迫力を引き出したいと切に願う職人1人1人の素材への尊敬と情熱の念です。
世界中で製品を待ち望むユーザーに最高の品質を届ける為に、日々より良いものを創り出そうと努力し続ける日本の職人とその匠の技に感動させられると共に、その事を日本人として誇りに思えた1日でした。

【有限会社 藤豊工業所】
〒131-0042 東京都墨田区東墨田3-17-13
(03)3618-2414
http://www.fujitoyo.co.jp/

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福岡出身で現在東京在住の小梅です!オーストラリアに5年 半、フィリピンやカンボジアでの海外生活を通して、日本の素晴らしさを再確認しました 。新たな視点で日本人にも外国人にも楽しんでもらえる記事作りを目指します☆

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