端午の節句に送る江戸木目込み人形 (埼玉越谷 柿沼人形)

1950年、人形師の初代・柿沼東光によって創業。江戸木目込人形による雛飾りや五月人形などの製造を行う。
現社長の2代目・柿沼東光 は、経済産業大臣および東京都知事の認定伝統工芸士。
螺鈿の象嵌や彩色二衣重の木目込み人形など独自の技法を学び、 技術向上に努めながら、
常に“時代の今”を見つめ、斬新な作品づくりに取り組むスタイルで新しい東光ブランドを築いている。

Hideki Motosue   CULTURE, 埼玉,

【 目次 】

柿沼人形

柿沼東光看板

屋根よりた〜か~い鯉のぼり~♪

前半では、雛人形についてお話しましたが、後半のこの記事では、木目込み人形を作っている「柿沼人形」さんで、歴史と端午の節句(5月5日の祝日)について伺ってきました。

埼玉県越谷と木目込み人形の歴史

木目込み人形は、約270年前の元禄年間(1736〜41)に京都で発祥したと言われています。

通説によると、当時の上加茂神社の雑掌の高橋忠重という人が、余り技で、神社の祭礼用の道具を作った余りで木彫の人形を作り、それに神社の衣装の残り裂を決め込んだのが始まりだと言われています。

それが江戸にも伝わり、木目込み人形が作られるようになると浅草橋で盛んに売られるようになりました。

そして、江戸の大工職人が栃木県の日光東照宮に向かう際に立ち寄る宿場町として栄えた越谷でも木目込み人形が作られるようになったそうです。

賀茂人形
1700年代に京都で作られた賀茂人形

柿沼人形の始まり

現在、伝統工芸士として二代目「柿沼東光(かきぬまとうこう)」を襲名した柿沼正志社長とともに柿沼人形を支える次男の柿沼利光氏。

工房を見学させてもらいながら、木目込み人形の製法を伺ってきました。

東京都伝統工芸士認定書

初代柿沼東光氏は、初代真多呂氏に師事。1950年に独立創業。
※Tadaima Japanでも以前、真多呂さんの人形体験教室の記事を書きました。

工房

木目込み人形の作業工程

屏風、ボディーの造形、衣装、動きなどすべてを社長の正志氏がプロデュース。しきたりに則ったものにするか、新しいものにするかなどをまず考えるそうです。

粘土の原型

粘土で原型を作り、おがくず(切粉)と生麩糊(しょうふのり)を練り物を型に詰め込んで作ります。
乾燥だけで、なんと2週間もかかるそう。

型抜された胴体

型抜きされた5月人形武将の胴体部分。
昔ながらの素材だけで作られることが伝統工芸の条件とされています。

バリ取り作業

バリ取り作業。
型を抜いた際に出てしまう余計なものをヤスリで丁寧に削り取ります。
この後、白い胡粉(ごふん)を塗り、長持ちさせるために強度を増す工程が入ります。

木目込み作業

胴体に筋彫りを施し、糊を付け布地を木目込んでいく作業。
友禅の生地は、利光氏が京都の帯屋さんまでわざわざ買い付けに行くそう。

雛人形

人形の命とも呼べる顔の表情を面相師が書き入れます。
石膏で出来た顔が取り付けられ、完成!

ひな壇に飾られるのを待つ三人官女や五人囃子。

伝統工芸マーク

天然素材だけを使って出来た人形には、伝統工芸マークがついてます。

一つの人形に二、三十人からなる熟練の技

工房で作業をしている職人の他にも、たくさんの職人さんが関わっており、数えると二、三十人もいるそうです。

1人の職人が複数工程を担当するのではなく、着物の生地、スジ彫り、髪の毛、顔への面相書き、台座、扇子や太鼓などの小道具などそれぞれ専属の熟練した職人がいるそうです。

雛人形は「高価な物」という印象がずっとありましたが、これだけの手間と努力が込められていると知り、本当の価値を実際に目で見て感じることが出来ました。

修理に出される雛人形

首が取れてしまったお人形も柿沼人形で修理。
衣装や髪の毛も整え、また綺麗な状態になって元の家に戻っていきます。

一生とは言わず、代々飾ることができる人形ですね。

新たな挑戦を続ける柿沼東光

衣冠束帯という冠を被ったお雛様。
天皇を模した形だと言われています。

雛人形は基本的に「有職故実(ゆうそくこじつ)」と言って、朝廷や公家の伝統的な儀式や習慣に基づいて作られています。

オートクチュールのお雛様

オートクチュールの生地を使った、日本とパリのコラボレーション。
伝統的でありながら、前衛的。
デザイナーの私が心を一番踊らされたお人形です。

面相筆で目を書き入れるものが主流ですが、最近はガラス目を入れたものも人気だそうですよ。

伝統的な形を守りつつも独創的でモダンな表現が柿沼東光さんの特徴ではないでしょうか?

5月5日は男の子のための祝日

日本で、5月5日は男の子のための祝日です。
3月3日は桃の節供(ひな祭り)と言って、女の子の健やかな成長を祈る行事を行いますが、反対に5月5日は端午の節句(こどもの日)といって、男子の健やかな成長を祈ります。

日本の女子の家では、ひな祭りに雛人形を飾りますが、男子の家では、鯉のぼりや兜の飾り、五月人形などを飾ります。
筆者の私も子どもの時も、実家で兜を飾っていたことを覚えています。

柿沼人形では、こどもの日に飾る五月人形も取り揃えています。

天翔(五月人形)

兜を被った若大将。偉いサムライですね。
「強くたくましく育つように」と願いが込められています。

鯉のぼり

鯉のぼりに乗った子どもたち。
鯉は滝を登ることから「出世できるように」と願いが込められています。

柿沼利光氏

木目込み人形を手に写真に映る、常務の柿沼利光氏。

男ばかりの兄弟で育ったため、雛人形に触れる機会があまりなかった私ですが、雛人形の魅力を知ることができました。

ただ古臭い風習だけだと感じていたひな祭りや子どもの日も歴史や深い意味を知るととても興味深く感じるようになりました。

子どもの日に私を祝ってくれた両親に感謝すると共に次は自分の子どもへ素敵な日本の風習を受け継いで行きたいと強く思います。

あなたの国には子ども達の祝日や風習はありますか?

自分の子どもや、大切な友人の子どもへ健やかな健康を祈って、日本の木目込み人形をプレゼントしてみませんか?

柿沼人形 かきぬまにんぎょう

所在地:埼玉県越谷市七左町2-174-4(越谷工房)

1950年、人形師の初代・柿沼東光によって創業。江戸木目込人形による雛飾りや五月人形などの製造を行う。
現社長の2代目・柿沼東光 は、経済産業大臣および東京都知事の認定伝統工芸士。
螺鈿の象嵌や彩色二衣重の木目込み人形など独自の技法を学び、 技術向上に努めながら、
常に“時代の今”を見つめ、斬新な作品づくりに取り組むスタイルで新しい東光ブランドを築いている。

http://www.kakinuma-ningyo.com/

埼玉県越谷市七左町2-174-4(越谷工房)

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Hideki Motosue

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Writer / UI,UX Designer

福岡県生まれの和歌山県育ち。とんこつラーメンと梅干しをこよなく愛するフリーランスデザイナー。Tadaima Japanの足軽隊長。

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Address 埼玉県越谷市七左町2-174-4(越谷工房)
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Website http://www.kakinuma-ningyo.com/