みなさんこんにちは。
COMINCA TIMES編集長水口です。
今回は岡山早島町にある「いぐさゲストハウス」さんをご紹介したいと思います。そのユニークな名称は、この土地でこそ価値のあるものでした。
日本建築に欠かせない『畳』。その原料の”い草”。
「いぐさゲストハウス」という名前は、かつて早島町が産地として有名だった畳原料”い草”にちなんで名づけられました。地元である早島町と外を繋ぐ役割を担うゲストハウスとして、土地の歴史や暮らし、大切にしてきた考え方を発信するためには、かつて人々の生活の中心にあったであろう”い草”が一番適していると考えられたからでした。”早島”と言うように、かつてこの場所は海に浮かぶ島でした。そのような土地で栽培するため、”塩”に強い作物として”い草”が選ばれた背景があります。
そのネーミングに留まらず「いぐさゲストハウス」は、実際に”い草”の栽培も進めています。さらに、収穫した”い草”を使って、”畳”以外のモノ作りにも挑戦しています。「いぐさゲストハウス」に隣接する建物に、秘密基地のようにワクワクするスペースがあり、その場所を使って様々な色に染め上げた”い草”を使ったランチョンマットなどを作られています。さらに、この”い草”の機織りは、ゲスト一人一人にも体験してもらうことで、ここでしかない”思い出”として早島町と”い草”の歴史の結びつきを体感してもらっているようです。
築200年の古民家に再び響く、笑い声。
以前別の記事でも紹介をしましたが、古民家ゲストハウスは”歴史的背景”と”人柄”がとても大事だなと思うようになりました。この2要素のミックスが、この世に2つとないここだけの価値が生まれます。”歴史的背景”が”い草”とすれば、ここ「いぐさゲストハウス」の”人柄”は、女将の徳永さん。”楽しく生きる。笑顔でいたら人が集まってくる。”というモットーの、いつも笑顔で元気な女性です。そして、そのモットーが示す通り、空き家になっていたこの古民家には再び人が集まり、笑顔と活気がある場所に復活しました。建物も立派で、中を拝見させていただくと立派な茅葺屋根の骨組みを見ることができました。ここに訪れた外国人観光客は、特にこの屋根を見て感動するのだとか。
地域に根ざす文化を掘り起こす。
先日「いぐさゲストハウス」では、”地域で生業を創る”ことを目的に、セミナーが行われました。地域おこし協力隊や旅館の経営者など8団体11名の方が集まり、地域のためにできること、そして、何より”生業”にするために地域の何にフォーカスしていくのか、議論されました。今回は見出しに書いた通り、その土地ならではの習慣や文化を掘り起こすことを目的に開催されました。
日本全国、人が定住していた地域には必ず何らかの歴史的背景や文化があります。
でもそれは、今でこそ大層に思えることなのかもしれませんが、かつては、シンプルにそこに人が住む”理由”だったのかなと思います。風化するかもしれなかった”その土地に人が住み着いた理由”を掘り起こし、再びその”理由”に寄り添って新たな価値を発信していく、この一連の活動はとても浪漫がありますね。
早島町に欠かせない要素”い草”をキーワードに、ゲストハウスを運営されている「いぐさゲストハウス」。全国のモデルケースになるような気がします。
■「いぐさゲストハウス」
igusagh@gmail.com
【writer Takayuki Minakuchi from COMINCA TIMES】
この記事は、日本全国の古民家を活用した取り組みを紹介するサイト、【COMINCA TIMES】の記事を使わせていただいています。
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岡山県都窪郡早島町早島1257